2022年度第1回研究例会

投稿者: | 2022年5月11日

日本語プロフィシェンシー研究学会
2022年度第1回 研究例会

日時:2022年6月25日(土)
場所:Zoomによるオンライン配信プログラム

*今回は非会員のお試し参加はありません

参加申し込みは締切りました

▼プログラム:

13:30~13:40  会長挨拶  鎌田 修

13:40~15:10  ブラッシュアップセッション「小さなタネを育てよう! ~OPIの考え方を応用した実践&アイデア交換会~」

前回のブラッシュアップセッションでは、「OPIの考え方を教育現場に活かすために」をテーマにして、ディスカッションを行いました。その流れを受けて、今回のセッションでは、OPIの考え方を活かして各自が実践している「小さなアイデアや試み」、または「現場の様々な制約の中で、工夫していること」などを共有する「アイデア交換会」を実施いたします。

「人は何かを変えることは嫌がるが、何かを試すことは大好き」、「試すことに失敗はない」という言葉にもあるように、ぼんやり構想中のネタ、失敗例、始めたばかりの小さタネなど、「大がかりなものではないけど、自分の持ち場でOPIの考え方を応用して実践している小ネタ」を持ち寄り、そのタネを参加者の皆様で共に育てていく機会にしたいと思います。次の日から現場に向かう活力になるようなセッションにしたいと思っておりますので、ぜひご参加ください!

(※参加される方は、当日までにどんなものでもいいので、上記の「小ネタ」を考えておいてください。)

15:10~15:20  休憩

15:20~16:00  研究発表 「臨床場面記録の検証過程で見えたこと 教育者への聞き取りより」 西川寛之氏(明海大学)

【研究発表要旨】

コミュニケーションの評価に際して、評価の基準を誰に焦点を当てて設定すべきかを検討するために、その検討の過程で見えた教育者の視点について報告する。

採血の際に行われるコミュニケーションを動画にて記録した。看護師と患者の会話である。この記録をもとに、西川・Vu(2021)では日越の比較を行った。ここでは、日本とベトナム、それぞれの動画を見せた上でアンケートへの回答を求め、その解答の比較を行った。特に、発話を中心にしたアンケートであった。この比較分析を行う過程から、現在2つの課題を設定し研究を進めている。1つ目は音声以外の情報によるコミュニケーションの分析、2つ目は教育者が想定するコミュニケーション活動と実態の比較分析である。

ここでいう教育者とは、看護教育を行う者である。西川・Vu(2021)で用いた動画では患者からの回答などでは動画についての特別な指摘はなかったのだが、教育者からは医療行為の手順などについてのコメントが寄せられた。今回追加での調査を実施するのに際し、コミュニケーションの研究に特化することを主たる目的として、新たに動画の撮影を行った。この動画では採血に用いられる器材を動画間で共通のものとする、採血者(看護師)の個人的特性の影響を極力少なくする、という調整と同時に、日越の動画を詳細に観察し、看護師及び教育者の視点から日越の採血の手順を再現するために聞き取りを実施した。

この聞き取りから得られた主な指摘は次のとおりである。

(1) 看護師の発話量に日越の差がある。(ベトナムは名前の確認以外発話なし)

(2) 患者の発話量に日越の差がある。

(3) 採血の手順は基本的に共通である。

(4) 採血の処置にかかる時間に大きな差は感じられない。

(5) ベトナムの患者は、看護師の動作から指示を読み取っている。

(6) 日本の患者は、看護師の言動による指示に従っている。

など。

(5)と(6)について、教育者からは、就職先の環境に応じた対応を前提として、柔軟な対応を心掛けているという意見が聞かれた。

教育の過程で具体的な指示の仕方をどの程度示すかは、教育現場ごとによって異なる。実習の中では見学などを通して学ぶ機会がある。ただし、最終的には就職後の職場ごとに異なることも教育者は意識して対応している。

 実習の場ではコミュニケーションを含め医療行為全体に関する指導が行われていることが考えられる。

 今後の課題として、コミュニケーション能力を測定する試験の評価基準の再構築を検討している。そのために、次の3者がそれぞれ理想とするコミュニケーションの比較を実施したい。教師が教育的側面から考える理想的なコミュニケーションの形、コミュニケーションの場にいる看護師が考える理想的なコミュニケーションの形、患者が考える理想的なコミュニケーションの形の比較から、研究を進めていきたい。

16:00~16:10  休憩

16:10~17:40  講演「VRからメタバースへ〜ポストコロナ時代の語学教育」
      矢野浩二郎氏(大阪工業大学)

【講演要旨】
コロナ感染症の拡大による授業のオンライン化などは、VR(バーチャルリアリティ)に対する教育現場の姿勢に大きな変化をもたらした。単なるエンターテイメントの為のデバイスではなく、真剣に教育現場への応用を考える関係者が増えたのである。さらに、バーチャルの概念を拡大するメタバースにも大きく注目が集まり、教育分野への波及効果も期待されている。本講演では、こうした変化を踏まえ、語学をはじめとする教育分野へのVRやメタバースの応用について議論する。

17:40~18:00  総会